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繰り返し精度・直線性・分解能の違い|センサ仕様表の読み方

入門級センサ実務検定 入門級の出題範囲

センサのカタログには、「繰り返し精度」「直線性」「分解能」といった項目が並んでいます。どれも同じ「精度」の話に見えますが、3つの値が答えている問いは違います。この記事では、その違いと、値に付いた条件の読み方を紹介します。

誤差には「見える誤差」と「見えない誤差」がある

測定値と真の値との差を、誤差といいます。誤差は、性質の違う2つに分けると整理しやすくなります。

  • シフト誤差:同じ条件なら、毎回同じ向きに同じだけずれる誤差です。たとえば傾けて取り付けたセンサは、同じワークを何度測っても、同じだけずれた値を出します。
  • 繰り返し誤差:測るたびに大きさや向きが変わる誤差です。センサの中のノイズなどで生じ、値のばらつきとして現れます。

繰り返し誤差は、何度か測ればすぐに見えます。一方、シフト誤差は何度測っても同じ値が出るので、値を眺めていても気づけません。値が安定していることは、値が正しいことの証明になりません。 シフト誤差は、値のわかった基準と比べて初めて見つかります。

なお「精度」という言葉は、この2つを合わせた意味にも、片方だけの意味にも使われます。仕様表では、項目の名前よりも、その値がどちらの誤差を表すのかを見ます。

シフト誤差と繰り返し誤差
図1 シフト誤差と繰り返し誤差公式ハンドブック 入門級の巻 図9-1

繰り返し精度:何度測っても同じ値が出るか

繰り返し精度は、静止したワークの同じ点を何度も測ったときの、値のばらつきの幅です。つまり、繰り返し誤差の大きさを表します。

ポイントは、ワークを置き直さずに測った値だということです。μm(1mmの1000分の1)の世界では、置き直すたびに測る場所や姿勢がわずかに変わります。そのため、ワークを載せ替えながら測る現場では、ばらつきは仕様表の値より大きくなります。

分解能:どこまで細かい変化を見分けられるか

分解能は、センサが見分けられる、いちばん小さな変化の大きさです。値が小さいほど、細かな変化までとらえられます。なお、静止した同じ点を測り続けたときのばらつきを、「繰り返し精度」と書くメーカーもあれば、「分解能」と書くメーカーもあります。

大切なのは、分解能は「細かさ」であって、「正しさ」ではないことです。ハンドブックでは、架空のレーザ変位計(測定範囲±5mm、繰り返し精度0.1μm、直線性±0.1% of F.S.)を例にしています。この変位計は0.1μmほどの変化をとらえられます。それでも、直線性から計算すると、値そのものは最大で10μmずれることがあります。

分解能が生きるのは、近い2点を続けて測って差をとる段差の測定のように、変化や差を測る場面です。一方、値そのものが公差(合格とする範囲)に入っているかを判定する検査では、細かく見えるだけでは足りません。

変化は見えても、値はずれている
図2 変化は見えても、値はずれている公式ハンドブック 入門級の巻 図9-2

直線性:測定範囲のどこでも値が正しいか

変位計の出力は、理想的にはワークの位置に正比例し、グラフにすると1本の直線になります。実際の出力は、この直線からわずかに曲がっています。その外れの最大値が、直線性です。

直線性は、測定範囲の全体(F.S.、フルスケール)に対する割合で書くのが一般的です。先の例では、測定範囲が±5mmなのでF.S.は10mmです。±0.1% of F.S.は、±10μmにあたります。これは「範囲のどこかで、最大±10μm外れうる」という意味です。どこでも常に10μmずれる、という意味ではありません。

直線性の外れは、同じ位置では毎回ほぼ同じだけ現れます。つまり、シフト誤差の一種です。平均回数を増やしても小さくならず、寸法のわかったマスタワークなどの基準と比べて初めてわかります。

同じ「% of F.S.」でも、測定範囲の広いセンサほど、μmに直した誤差は大きくなります。センサは、実際に使う範囲に合わせて選ぶのが基本です。

直線性 ― 理想の直線からの外れ
図3 直線性 ― 理想の直線からの外れ公式ハンドブック 入門級の巻 図9-3

仕様表の値は、注記に書かれた条件での値

3つの値を並べると、次のようになります。

項目答えている問い表すもの役に立つ場面
分解能どこまで細かく見分けられるか細かさ(多くは値のばらつきで決まる)変化や差を測る
繰り返し精度何度測っても同じ値が出るか繰り返し誤差(ばらつき)判定を安定させる
直線性範囲のどこでも値が正しいかシフト誤差(ずれ)値そのものを判定する

そして、どの値も最良の条件で測ったものです。条件は、表の下の注記や脚注に書かれています。ハンドブックの例では、繰り返し精度に次の条件が付いています。

  • 標準対象物:光をよく拡散する、表面の整った白い物体を測っています。黒いワークのように反射光が少ないと、ばらつきは大きくなります。
  • 基準距離:測定範囲の中心で測っています。範囲の中の位置によって、ばらつきは変わります。
  • 平均回数:4096回分の測定値を平均しています。ばらつきが測るたびに独立に生じるなら、平均回数がN回でばらつきはおよそ√N分の1になります。4096回なら、およそ64分の1です。

仕様表の値を使う前には、次の順で確かめます。

  1. 値に付いた条件を、注記・脚注・取扱説明書で探す
  2. ワークの色や大きさ、距離、温度、速さを、条件と見比べる
  3. 違いがあれば、余裕をとって選ぶか、実際のワークで試す

仕様表の値は、センサを選ぶときの出発点です。自分の現場の条件と並べてみて、初めて数字が意味を持ちます。

まとめ

  • 繰り返し精度は「何度測っても同じ値か」(ばらつき)、直線性は「範囲のどこでも正しいか」(ずれ)、分解能は「どこまで細かく見分けるか」を表します。
  • 分解能が細かくても、値が正しいとは限りません。値が安定していても、ずれていることがあります。
  • 仕様表の値は、注記に書かれた最良の条件での値です。自分の使い方と条件を見比べてから使います。

もっと詳しく:公式ハンドブック「FAセンサ大全 入門級」 Lesson 9(ほか Lesson 6・Lesson 11)

この内容は、センサ実務検定 入門級の出題範囲です。

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