光電センサの誤検知・チャタリングの原因と対策|症状から絞る考え方
「昨日まで検出できていたのに、今日は見逃す」「ワークがないのに、ときどきONになる」。光電センサなどの判別センサでは、こうした相談が絶えません。感度をいじる前に、症状から原因を絞る考え方を押さえておくと、トラブルを短く終わらせられます。
誤検知は、受光量のばらつきがしきい値に届いて起きる
判別センサは、受光量などの値をしきい値(閾値。ONとOFFを切り替える境目の値)と比べて、出力を決めます。この値は、毎回ぴったり同じではありません。ワークの色や通る位置で少しずつ違い、汚れや温度で日ごとにも動きます。
つまり、ワークがあるときの値も、ないときの値も、ある幅をもってばらついています。その幅の端がしきい値に届くと、判別を誤ります。
- 見逃し:ワークがあるときの値が、しきい値を割る
- 過検知:ワークがないときの値が、しきい値を越える
- チャタリング:値がしきい値のあたりを行き来し、出力がONとOFFを細かく繰り返す
しきい値からの離れ具合を「余裕度」と呼びます。受光量などがしきい値の何倍あるかで表し、大きいほど、少々ばらついても判定は変わりません。誤検知の原因探しは、余裕度が減った理由を探すことから始まります。
まず「どちらの値がしきい値に寄ったか」を見る
誤検知が起きると、センサの交換や感度の調整から手を付けたくなりますが、遠回りになりがちです。最初に、ワークがあるときとないときの受光量をアンプの表示で読み、設置したときの記録と比べます。どちらの値がしきい値に寄ったかで、疑う原因は3つに分かれます。
- 本来の信号が弱まった(光電センサでいう「入光側が下がる」):レンズの汚れ、光軸のずれ、取り付けの緩み、ファイバの曲げ、ワークの色や光沢の変化
- 余計な信号が加わった(「遮光側が上がる」):背景からの反射、回り込む光・透ける光、外乱光、並べたセンサどうしの相互干渉
- 値は変わらない:どちらの値もしきい値から遠いのに誤る。応答時間とワークの速さ、ワークのふらつき、配線や受け側の入力を疑う
比べる記録がなければ、どちらの値が動いたのかもわかりません。設置したときに受光量を記録しておくことが、トラブルを短く終わらせる近道です。
症状から、疑う原因と対策を引く
よくある症状と、疑う原因・対策をまとめます。
| 症状 | 疑う原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 見逃しが、少しずつ増える | 汚れ/光軸のずれ/取り付けの緩み | 清掃する/光軸を合わせ直す/余裕度の低下の知らせを使う |
| ワークがないのに、ONになる | 背景からの反射/外乱光/相互干渉 | センサの向きを変える/距離設定型にする/遮光板を立てる |
| 小さい・薄いワークを見逃す | 回り込む光・透ける光 | 光の束を細くする/回帰反射型にする |
| 止めると検出し、流すと見逃す | 応答時間/受け側の取りこぼし | 応答時間を見直す/タイマでONを延ばす |
| 出力が、細かく切り替わる | ワークのふらつき/光沢面の反射 | 応差を広げる/タイマを使う |
| 決まった時間帯だけ誤る | 日光 | 遮光板を立てる/向きを変える |
| 品種・材料が替わってから誤る | ワークの色・光沢・材質 | しきい値を決め直す/方式を見直す |
気をつけたいのは「感度を上げておけば直る」という考えです。原因が背景の反射のような余計な信号なら、感度を上げるとかえって過検知が増えます。原因がレンズの汚れなら、汚れは進み続け、やがてまた見逃します。確かめずに感度を変えると、症状が別の形に変わるだけのことがあります。
チャタリングと数え間違いには、応差とタイマ
境目の近くでワークがふらつくと、チャタリングが起きます。応差(ONになる値とOFFに戻る値の差)を広げると、その幅の中のふらつきでは出力が切り替わりません。ただし応差を狭くするほど、わずかな差を見分けられる代わりに、チャタリングしやすくなります。
光沢のある凹凸のワークでは、ワークが進むにつれ、反射光が受光部からそれる瞬間があります。受光量が一瞬だけしきい値を下回ると、1個のワークで出力が2回ONになり、PLCは2個と数えます。止めたワークで受光量を見ても、この症状は見えません。
この場合は、OFFに戻るのを決めた時間だけ遅らせる「オフディレイタイマ」で、短いOFFを無視させます。しきい値を下げて済ませると、背景の反射まで拾いやすくなり、今度は空のコンベヤでONになります。
タイマには引き換えもあります。ワークが動いていると、遅らせた時間はそのまま位置のずれになります。長すぎれば、続いて来た2個を1個と数えます。応答時間も同じで、速くするほど余裕度が下がり、干渉防止の効く台数も減ります。
疑う順序は「簡単なこと」と「変えたこと」から
原因がすぐにわからないときは、確かめる順序を決めておきます。
- 症状を書き留める(いつから、どのくらい、どのワーク、何時に)
- 変えたことを洗い出す(交換、改造、品種、設定、材料、配線)
- 簡単に確かめられることから見る(表示、窓の汚れ、コネクタ、設定の値)
- 条件を1つずつ変えて絞る
- 原因を確かめてから直し、記録する
症状の出方も手がかりです。ある時から急に起きたなら、直前に変えたことを疑います。例えば、設備の安全カバーを光沢のある金属の板に替えたら、その反射でワークがないのにONになる、という形です。少しずつ悪くなるなら汚れや取り付けの緩みを、ときどき起きるなら同じ時に動くものを探します。
ほかの設備が動いたときだけ誤動作するなら、配線に入るノイズも疑います。その設備を止めて比べ、信号線を動力線から離す、シールドを接地するといった対策を取ります。
予備品との交換は、原因がセンサの側にあるかを確かめる手段です。替えても症状が消えなければ、原因は取り付けや配線、ワーク、周りの環境にあります。直ったことと、原因がわかったことは別です。
まとめ
- 誤検知は、受光量のばらつきの端がしきい値に届いて起きます。誤り方には、見逃し・過検知・チャタリングがあります。
- ワークがあるとき・ないときの値を設置時の記録と比べ、どちらの値が動いたかで原因を3つに分けます。
- 確かめずに感度を上げると、症状が形を変えるだけのことがあります。チャタリングには応差やタイマを、引き換えを見積もって使います。
もっと詳しく:公式ハンドブック「FAセンサ大全 実務級」 Lesson 46・51・59
この内容は、センサ実務検定 実務級の出題範囲です。
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